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災害に備える

先人が残したことわざや言い伝えから気象災害に備える

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現在、ニュースなどで見る天気予報は、最新鋭のスーパーコンピューターの予測に基づいています。現在、気象庁で使用しているそのスーパーコンピューターは2018年6月5日に運用開始されたもので、従来のよりも約10倍の処理が可能となったそうです。しかし、最新科学をもってしても、昨年、今年と各地で集中豪雨をもたらした線状降水帯や竜巻など、極めて狭い範囲で突発的に発生する天候異変を予測するのは、なかなか容易ではないと言われています。そこで今回は、ニュースや天気予報もなかった時代の先人たちが、どのように災害につながる天候異変を予測してきたかをクローズアップしていきたいと思います。
命や生活を災害から守るため、天候を目で見て肌で感じてきた先人たちの英知や経験則がつまった天気に関することわざの数々をご紹介します。

 

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出典:気象庁ホームページ (https://www.jma.go.jp/jma/press/1805/16b/20180516_hpc_renewal.html)
「写真の名称」(上記URLより)

 

先人が残したことわざや言い伝えの中には、気象災害から身を守るための英知が含まれています。これらを知っておくと、気象の異変にアンテナをたてることができます。まずは、土砂災害に関することわざから見てみましょう。

 

蛇ぬけの前にはきな臭い匂いがする

長野県南木曽町に伝わることわざに、「蛇抜け(じゃぬけ)の前には、きな臭い匂いがする」というものがあります。南木曽町では古くから土石流のことを「蛇抜け」と呼んで恐れてきました。蛇抜けは大蛇が山をはって落ちてくる姿を例えた言葉だそうです。このときに「きな臭い」、つまり焦げ臭い匂いがする、と言われています。土砂災害の前兆を嗅覚で察知してきた英知のひとつと言えるでしょう。

同町には「蛇抜けの碑」が建立されています。昭和28年7月に、当時の西筑摩郡読書村伊勢小屋沢(現在の南木曽町)で起きた土石流により犠牲となった方々を偲んで建てられた石碑で、碑には以下の銘文が刻まれています。

白い雨が降ると抜ける
尾(根の)先 谷(の出)口 (お)宮の前(には家を建てるな)
雨に風が加わると危い
長雨後 谷の水が急に止まったらぬける
蛇ぬけの水は黒い
蛇ぬけの前にはきな臭い匂いがする

※(  )内は追記

 

山潮の前には川の水に異臭・悪臭がする

同じく、長崎県の山川河内(さんぜんごうち)地区にも、匂いに関連する言い伝えが残っています。「山潮(やましお)の前には、川の水に異臭・悪臭がする」というもの。このあたりの地区では、土石流のことを「山潮」と呼びます。

 

山のほうで雷のような音がしたら、とにかく逃げ出せ

岐阜県高山市には、匂いではなく音で土砂災害を察知する言い伝えが残っています。それは「山のほうで雷のような音がしたら、とにかく逃げ出せ」というもの。雷のような音というのは、地鳴りのことです。「ゴーゴー」「ドンドン」という大きな異音の正体は、石同士がぶつかる音だったり、木が裂けたりして根こそぎ倒れていく音です。この音がしたら、まさしく近くで土砂災害が発生している証拠。音を聞いた現在地点にも、すぐに土砂が押し寄せてくる危険があるのです。

 

降雨中、用水減ずれば山津波あり

また、土砂災害の前兆に気づくため、川の様子にも注視するよう、ことわざは警告を発しています。「降雨中、用水減ずれば山津波あり」ということわざに出てくる山津波とは、大雨で山が崩れ、津波のように土砂が押し寄せる土石流のこと。降水量が増えれば、通常は川の水かさが増すはずですが、「水位が低くなったら要注意」だと注意喚起しています。川の上流域で斜面が崩れるなどし、大木や岩が川の水をせき止めると水位が下がり、これが決壊すると、一気に大量の水と土砂が襲い掛かってくる恐れがあるわけです。

台風災害が増加する季節になると、天気予報だけでなく台風対策特集などの注意喚起を目にする機会が増えてくるもの。台風や嵐の危険予知についても、多くのことわざや言い伝えが残されているので、ぜひ参考にしましょう。

急に潮が満ちるときは雨が降る

「急に潮が満ちるときは雨が降る」という言い伝えもそのひとつです。潮位が急上昇するのは、まさに台風接近の合図。台風接近によって潮位が上がる理由は2つあります。

ひとつは「吸い上げ効果」。気圧が1ヘクトパスカル(hPa)下がると、海面の水位(潮位)は1センチ上昇するとされています。台風が来る前に1000ヘクトパスカルの場所に950ヘクトパスカルの台風が近づくと、台風の中心付近では海面は約50センチ高くなり、その周りでも気圧に応じて海面は高くなります。

もうひとつは「吹き寄せ効果」。台風の接近に伴い、沖から海岸に向かって風が強まると、海水が海岸に吹き寄せられます。潮位の上昇率は風速の2乗に比例するため、風速が2倍になれば、海面上昇は4倍になります。つまり、昔の人はこうした潮位の変化から台風が近づいてくることを察知し、大雨や嵐の対策を講じていたのです。

 

海鳴りが聞こえると暴風雨がくる

同じく、台風の接近を音で感じることもあります。「海鳴りが聞こえると暴風雨がくる」という言い伝えです。海鳴りとは、海から聞こえてくる「ゴロゴロ」「ゴー」といったごう音のこと。台風が近づいてくるときは、まず海から顕著に影響が現れます。青空で風も弱いのに、海は荒れているという状況などは、まさしく台風接近の影響を受けている状態。一説によると、1500キロメートル以上離れた場所でも波はうねると言われています。台風が日本からはるか遠くの海上にあっても、波のうねりはとてつもないスピードで押し寄せてくるのです。

多くの場合、台風が上陸する2〜3日前から、波のうねりが日本沿岸地域にたどり着き、台風が通り過ぎても、しばらくはその影響が残ります。波のうねりの速さは、ふつうは時速50キロメートルほどですが、時には時速約100キロメートルに及ぶことも。穏やかな天気とは言え、ささいな変化を見逃してしまうと、逃げ遅れてしまいかねません。

四季折々でさまざまな雲の変化が楽しめる空模様。そんな空や雲の様子からも、気象災害の前兆を知ることができます。

山に黒雲かかれば暴風雨

「山に黒雲かかれば暴風雨」ということわざは、水蒸気が多く含まれた空気が山の斜面を駆け上がり、黒っぽい雲がかかる様子を示しています。同時に、この状態が見られるときは、間もなく暴風雨になる可能性が高いということです。

 

白雲糸を引けば暴風雨

また「白雲糸を引けば暴風雨」ということわざもあります。秋晴れの高い青空に、白いペンキや絵の具をハケや筆で描き伸ばしたような、白い筋状の雲が見られるときは要注意。この白い雲の正体は巻雲(けんうん)というもので、糸を引いたように見えるときは、上空の風が強くなっている証拠。南から巻雲がやってきたら、その1000キロメートルほど先には台風があることが多いのです。

 

風雨の激しいときには、逃げてはならぬ

こうした台風襲来で避難する状況に対しても、警告を発していることわざがあります。台風襲来が全国でも多い高知県四万十市の言い伝えで「風雨の激しいときには、逃げてはならぬ」というものがそれです。台風は、ある程度接近する経路が予想できるので、安全な場所への避難は容易です。しかし、野外が大荒れの状態になってから避難所へ行くのは、必ずしも適切な判断だとは言えません。状況によっては、外に出ること自体が危険な場合もあるのです。

 

水害の時には杖のような棒で前方をつつきながら歩け

最近の洪水時の死亡原因のおよそ2割は、家の近くの側溝などちょっとしたところに足を取られてしまうことであるという報告もあります。「水害の時には杖のような棒で前方をつつきながら歩け」と言うことわざのように、浸水した道路には何が落ちているかわからないため杖や傘などを活用した「さぐり棒」で安全を確認しながら歩くことが大切です。

ほかにも、危険災害回避の英知を示す言葉は数多く残されています。これらを知れば、いざというときに役立つはずです。

※参考文献:『気象災害から身を守る大切なことわざ』(弓木春奈著/河出書房新社)2017年11月出版

 

以上、ご参考までに^^

 

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